移動平均乖離率
移動平均乖離率は、値は上がり過ぎれば下がり、下がりすぎれば上がる、という相場の考え方に基づき、値が移動平均線から大きく離れたら、「上げ止まる」、または「下げ止まる」という“転換するタイミングを計る指標になります。
移動平均乖離率は2009年にFX界で注目を浴びましたが、実は、株式の世界では数年前に一躍脚光を浴びたテクニカルチャートでもあります。
ジェイコム株で20億円儲けた通称「ジェイコム男」がインタビューを受けた際に「25日移動平均乖離率が-20になったので買った」とのコメントを残していて、このチャートの有用性を証明する実例の1つになっています。
移動平均乖離率は、上の図の様に表示されます。一般的に0のラインを基準に+5%を超えると目先調整局面を迎え、-5%を超えると行き過ぎのメドとされています。
また、±10%以上、以下になると天井や大底になる場合が多いと言われています。
売買タイミングの見方
価格線と移動平均線との大幅な乖離は、やがて修正されるという法則から考えられています。移動平均線に対して価格が離れすぎたとき上下に行き過ぎた状態なので、これを修正する動きになるという経験則に基づくものです。では、具体的な売買タイミングを見てみましょう。
上の図は、買い時の一例です。移動平均乖離率で買い時の目安とされるのは-5%を超たときです。ロウソク足を見てみると激しい下降トレンドである事がわかります。そのようなトレンドの最中でも、移動平均乖離率がー7.95%以上をマークしているポイントがあります。ロウソク足と比べてみると、次の瞬間から値を大きく戻しているのが分かるかと思います。
上の図は、売り時の一例です。移動平均乖離率で売り時の目安とされるのは+5%を超たときです。
図では+5%を超えて+6.14%まで上がっています。ロウソク足と比べてみると、+6.14%を記録した地点から、一気に値下がりが始まっています。
このように移動平均乖離率は、RSIやストキャスティクスが苦手とする、強いトレンドが発生しているときでも、精度の高いサインを出せるのです。
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補足
価格変動が激しく、移動平均線の動きが、価格の変化についていけない時は、移動平均線と価格との乖離がはっきり分かるため、移動平均乖離率が有効ですが、逆に価格と移動平均線が緩やかに並行して動く場合、乖離が広がらず、移動平均乖離率は横ばいになってしまいます。このような状況では、移動平均乖離率はあまり効果を発揮しなくなるので注意が必要です。
移動平均乖離率 計算式
- 移動平均乖離率(Difference from Moving Average)
- 移動平均乖離率は当日の終値、移動平均線の2つを用いて算出します。
移動平均乖離率=((当日の終値 – 移動平均)÷移動平均) ×100
終値は、「当日の終値」の他、「前日の終値」が採用される場合もあります。
移動平均は、単純移動平均(SMA)の他、加重移動平均(WMA)、指数平滑移動平均(EMA)が採用される場合もあります。